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私は転職して間もない会社員です。
ようやく1ヶ月が過ぎて職場の人がどんな人なのか、仕事の内容もうっすら分かり始めてきた頃。
意地悪な人はいないし残業もない。丁寧に仕事も教えてくれる。
「良い職場」「恵まれた環境」なんだと思っています。そう思う事が、幸せなんだと思っています。
今の職場は ラジオが流れていて、朝から恋愛の話をするラジオパーソナリティーはゲラゲラ笑い飛ばしていて、選曲もクソダサい。
この選曲をなんとも思わない人間こそが、幸せで恵まれた人なんじゃないかと、本当は思っている節もあります。
私は大学をアッサリ中退して、専門学校に進んだクチ。
専門学校では先輩の先輩。ようするに卒業生であるSさんという人が二十歳の私を夢中にさせました。
先輩の紹介で知り合ったSさんは向井理似で彼女もいて余裕な感じを醸し出している人。
映画や音楽に詳しくて、服のセンスも抜群なので一緒に居るだけで、私も意識の高い人間に思えてくるのは私が若かったせいかもしれません。
Sさんが批判する映画は私も批判したし、Sさんが「あいつの聴く音楽 はクソだ」といえば、そいつはクソ野郎だと思いました。
仕事を始めたけど、すぐ辞めた事すらカッコイイと思ってしまうので、本当に魅力的な人だったのです。
彼女がいるくせに、セックスもしました。
なんでも教えてくれるSさん。
いつの間にかSさんとは疎遠になり、私は仕事を4年で辞めて、転職先でクソダサい選曲をするラジオ番組を聴きながら仕事をしている。と言っています。
憧れていたSさんと同じような人生を歩み、Sさんと同じ思考なのだと思うと、あまり嬉しくはない。